私たちが普段何気なく支払っている消費税ですが、これらは課税事業者(企業など)が代わりに納税しています。, 「仕入控除額」という部分は他の事業者に支払っている部分です。 現行は次の項目の記載が必要ですが 上の画像は、区分記載請求書等保存方式での請求書の記載例を、ごく簡単に示したものです。上記では、軽減税率の対象品目となる「〇〇〇」に※印が付いており、消費税が8%であることを明示しています(請求書の末尾に、「※は軽減税率対象であることを示します。 ④課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含みます。) ④課税仕入れに係る支払対価の額(消費税額及び地方消費税額に相当する額を含みます), 2 請求書等の記載事項 まず、軽減税率の導入に伴って平成31年(2019年)10月から区分記載請求書等保存方式が始まります。 区分記載請求書等の記載事項. その場合は、受け取った側でこれらの項目(下図の赤く色が付いた部分)を追記することが認められています。, 今まではあまり意識しなくても請求書を作成すれば消費税上も仕入控除できるような仕組みでした。しかし、消費税のために請求書の書き方・出力システムに大幅な変更をしなければならず、大きな負担を強いていると感じます。実際、個人商店や中小企業は対応が間に合わないところがあるようです。, という作業が必要になります。 区分記載請求書等保存方式とは. 目次1 消費税10%に増税!請求書(区分記載請求書等保存方式へ)の記載事項が変わる!2 区分記載請求書等保存方式3 請求書等の記載例4 『軽減対象資産である旨』及び『税率ごとに合計した課税資産の譲渡等 そのため、各事業者はあまり意識していなくても、請求書を作成すれば要件を満たすようなものでした。, 2019年10月から消費税率の変更・軽減税率の導入に伴い、仕入税額控除方式も「区分記載請求書等方式」に変更されました。 源泉所得税については、こち... こんにちは!なすのつくだにです。 2019年10月1日からの消費税増税により軽減税率制度が導入されました。それに伴い請求書も「区分記載請求書等保存方式」に変更となります。本記事では「区分記載請求書等保存方式」について分かりやすく解説します。 消費税を課税されない免税事業者については、軽減税率制度の実施によって、何か取り扱いは変わるのでしょうか? 区分記載請求書等への対応は必要なのでしょうか? 軽減税率導入後の免税事業者の扱いについて見ていきましょう。 2回目は請求書... こんにちは!なすのつくだにです。 消費税は「間接税」に分類され、税金を納める義務がある人(納税者)と、税金を負担する人(担税者)は別となります。 消費税の課税対象となるのは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等とされており、生産および流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度、その販売価格に上乗せされますが、最終的に税を負担するのは消費者です。 一方、税金を納めるのは事業者です。仕組みとし … 今回はこちらについて考えてみたいと思います。 今回は地味ーに続いている税金ややこしいシリーズ第4弾を書こうと思います! この... 今回は請求書の書き方の変化や、各国の軽減税率の情勢から日本の軽減税率がどうか?といった部分について書いていこう, 「請求書」と呼ばれるものにはほとんど上記の①〜⑤の内容が書かれていることが分かるかと思います。, 各事業者はあまり意識していなくても、請求書を作成すれば要件を満たすようなものでした。, 消費税のために請求書の書き方・出力システムに大幅な変更をしなければならず、大きな負担を強いている, 登録は2021年10月1日から提出可能になり、適格請求書等保存方式が導入される2023年10月1日から登録を受けるためには、2023年3月31日までに提出する必要があります, 品目ごとに税額を計算・端数処理を行い、その合計額を消費税額とすることは今まで認められていましたが、適格請求書等保存方式では認められません。, 一定期間の取引をまとめた請求書を発行することもあると思いますが、その場合でも適格請求書単位で1回の端数処理を行うため、期間ごとの端数処理は認められません。, 適格請求書等保存方式では、適格請求書の交付義務が免除される取引や従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当に係る課税仕入れなどに限られ、範囲は狭まります。, 現状免税事業者として活動している事業者にとっては、クライアントとの取引を継続するために、適格請求書発行事業者(つまり、免税事業者から課税事業者となる)となる圧力が働きます。, 複数の伝票をまとめて請求書として作成することもあると思いますが、その場合でも端数処理は1回までと決められているため、システム改修が必要となる場合があると考えられます。, おそらくほとんどの企業が、現状のままでは「立替金精算書」をシステムから発行するのが不可能ではないかと思います。, 請求書自動発行システムで発行した場合、消費税の情報がない総額だけの「立替金精算書」が発行されてしまい、立替を受ける側の仕入税額控除ができなくなってしまうという問題が生じます。. 現行の請求書の項目に加えて軽減税率の対象の場合はその旨を明示すること、そして軽減税率と標準税率との税率が異なるごとに区分して合計した額を記載すること. 今回はじみーに続いている税金ややこしいシリーズ第3弾を書こうと思います! 多いのは、品目の右に「軽」や「※」などを付し、請求書の下に「『軽(※)』は軽減税率対象であることを示します」のように表記するパターンですね。各コンビニのレシートを確認してみたのですが、このように書いていました。 立替えを受ける時に仕入税額控除するためには、立替えを行う者から立替金精算書を受領することで仕入税額控除ができるようになります。, この立替請求する企業は「立替金精算書」を発行する必要がありますが、この「立替金精算書」が非常に厄介です。 税理士, 企業所属の税理士として、財務諸表や申告書の作成といった経理業務を経験したのち、専門性を高めるために外資系税理士法人に転職。大企業から中小企業まで法人税を中心として幅広く税務業務に従事。税理士法人退職後は、一般企業の経営に携わるとともに、フリーランスの税理士として活動している。, 税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。, 区分記載請求書等保存方式とは?記入例や注意点を解説【2019年10月〜】 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム. 企業によっては、経理システム上では複数の伝票をまとめて請求書として作成することもあると思いますが、その場合でも端数処理は1回までと決められているため、システム改修が必要となる場合があると考えられます。 請求書等に関わる制度の変更スケジュール 2. 1回目は軽減税率対象の範囲について、国税庁のリーフレットをもとに解説をしました! これを書いていない請求書だと余計に消費税を支払わなければならなくなり、もったいなくなるということですね!, (※仕入税額控除の要件・控除額の算出は他にも様々な決まりがあるのですが、今回の話題からはそれるので割愛します。), 消費税における請求書の方式について、2019年10月以前は「請求書等保存方式」というものでした。 軽減税率導入前の令和元年9月30日までは、仕入税額控除については、一定の帳簿及び請求書等の保存が要件とされていました(請求書等保存方式)。 令和元年 10 月1日から令和5年9月 30 日(適格請求書等保存方式の導入)までの間は、この仕入税額控除の要件について、従来までの請求書等保存方式を基本的に維持しつつ、軽減税率の適用対象となる商品の仕入れかそれ以外の仕入れかの区分を明確にするための記載事項を追加した帳簿及び請求書等の保存が要件とされます(区分記載請求書等保存方 … 2019年10月1日から仕入税額控除ができるための請求書・帳簿の要件が「区分記載請求書等保存方式」に変更になりました。また、2023年10月1日には「適格請求書等保存方式」という方式に変更されます。, そもそも、「仕入税額控除」ってなに?ということについて解説いたします。 前述した通り、端数処理は適格請求書ごとに1回と決められています。 DeNA、2019年度第3四半期決算は赤字に なお、「区分記載請求書等保存方式」は平成35(2023)年9月30日までの経過措置であるため、平成35(2023)年10月1日からは、税務署長の登録を受けた事業者(適格請求者発行事業者)から交付を受けた適格請求書及び帳簿の保存が仕入税額控除の要件となる。 第3弾では軽減税率対象の範囲について、国税庁のリーフレットをもとに解説しました。 [集計単位][請求先][締日]を指定して、[集計]をクリックします。 都度請求分の請求明細書を集計する場合は、[都度履歴表示]から印刷対象を選択してください。 今まではあまり意識していなくても消費税法上、仕入税額控除できる請求書として認められていました。しかし、要件が追加されたことによって、意識しないと仕入税額控除できなくなったため注意が必要です。, 請求書の中に軽減税率対象のものがある場合は、その品目が軽減税率対象であることを明記する必要があります。 区分記載請求書等保存方式. DeNA、上場来初の最終赤字に ゲームで500億円減損:日本経済新聞 仕入税額控除をするために、前述の項目に加えて以下の2点を請求書に記載しなければならなくなりました。 小口現金で済ませるような取引でも細かくチェックし、保存する必要が生じるため、経理担当者の負担がさらに増えることが予想されますね……。, 適格請求書等保存方式導入後は、立替金処理に対する仕入税額控除が非常に煩雑になります。 と感じたことについて書きたいと思います。 課税事業者は、仕入税額控除の適用を受けるために、次の事項が記載された帳簿及び請求書を保存することが必要となります。帳簿・請求書は7年間保存しなければなりません。ただし、税込みの支払額が30,000円未満ならば帳簿の保存のみで良いとされています。, 1 帳簿の記載事項 「弥生販売 17」以降、「やよいの見積・納品・請求書 17」以降では、「区分記載請求書」の記載項目に対応した請求書等の出力ができます。 各シリーズの消費税関連の対応内容はこちらを参照ください。 ⑥ 軽減税率の対象品目である旨 このシステム改修は請求書自動発行システムのみではなく、経理システムそのものの改修も必要となる可能性があるため、大規模になる可能性があります。, 2点目は立替金精算書の発行に関する改修です。 ③課税仕入れに係る資産又は役務の内容 サークルの税金って、何がかかるの?その2 今回はこちらについて考えてみたいと思います。 前回の記事は法人税と消費税について考えてみたので、次は源泉所得税について考えてみたいと思います! 今回は前半として、「軽... こんにちは!なすのつくだにです。 なお、適格請求書等保存方式に先立って区分記載請求書等保存方式が導入されますが、この2つの制度下では帳簿の記載事項は全く同じです。 したがって、2019年10月1日以後は次の内容を帳簿に記載しなければならないと覚えてください。 「立替金精算書」には、仕入税額控除可能なものか(適格請求書発行事業者からの仕入かそうでないか)や適用税率ごとに区分するなど、適格請求書の記載事項に準ずる内容を記載しなければなりません。 おそらく多くの経理システムでは、それぞれの伝票を起票した時に消費税額を算出していると思われます。そのため、複数伝票をまとめて請求書を発行した場合に、伝票ごと(あるいは明細ごと)に端数処理をしていることになり、適格請求書等保存様式の要件を満たさなくなります。 適格請求書(インボイス)とは簡単にいうと「売手が、買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」です。税務署長の登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)が発行した請求書が「適格請求書(インボイス)」であり、令和5年(2023年)10月1日からは、この適格請求書等を作成・保存することが仕入税額控除の要件となります。 経過措置として導入されている区分記載請求書等制度との違いは、請求書等に事業者の登録番号が記載されるという点です。この登録番号は、税務署 … そのため、適格請求書等発行方式となった場合、免税事業者にとっては多大な負担がかかります。, 1点目の「端数処理の制限」について説明いたします。 ④自動販売機・自動サービス機により行われる課税資産等の譲渡等(3万円未満のものに限ります) 区分記載請求書等保存方式における記載事項. 渡等の対価の額」とする場合、区分記載請求書等保存⽅式と同様、「値引後の税抜価額⼜は税込価額」⼜は「税率ごとの値引 額」が領収書等で明らかになっていれば、合理的に区分しているものと認められる。また、「消費税額等」については、「値引 こんにちは!なすのつくだにです。 僕は経理の仕事をしていて、感じたことがあります! それは、消費税の経過措置がややこしい!ということです。 今回は税金ややこしいシリーズ(勝手に名付けました笑)第2弾です! 税... こんにちは!なすのつくだにです。 適格請求書等保存方式では、適格請求書の交付義務が免除される取引や従業員等に支給する出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当に係る課税仕入れなどに限られ、範囲は狭まります。, ①公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のものに限ります) しかし、おそらくほとんどの企業が現状のままでは「立替金精算書」をシステムから発行するのが不可能ではないかと思います。こちらについては「所感」で後述します。, まだまだ導入は先になりますが、すでに大きく負担が増加することが予想されますね。負担が増えそうな部分を事務作業面とシステム面で考えてみました。, 1点目の「少額取引」については、前述した通り、少額でも適格請求書の要件を満たすように発行する必要があるため、日々の伝票のチェックがより細かくなり、負担が増えるという点です。, 2点目は、適格請求書を発行するためには、課税事業者になる必要があることによるものです。 サークルの税金って、何がかかるの? ②出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡 明記の仕方は、分かればどのような示し方でも良いようです。 https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/keigen_zeiritsu/jigyosya/kubunkisai.html 2019年7月に発生した京都アニメーションの放火事件が... こんにちは!なすのつくだにです。 軽減税率の導入により、領収書には「区分記載請求書等保存方式」の記載方法が求められます。また、2023年10月1日からは「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」への切り替えも控えているため、事前に準備を進めなくてはいけません。 仕入れにあたって、仕入先から請求書をもらう代わりに、仕入先に対して仕入明細書を作成し、仕入先の確認を受けているといったお店もあります。軽減税率制度の実施によって、仕入れた側が作成する仕入明細書にはどのような記載が必要になるのでしょうか? 2023年10月1日から「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」 に対応させることで、引き続き仕入税額控除の対象になります。 では、仕入税額控除の対象になることで、どのくらい消費税の納税額が変わってくるのでしょうか?見ていきましょう。 例えば、売上高2160万円(消費税160万円)、仕入高1296万円(消費税96万円)のケースで比較して … ②課税資産の譲渡等を行った年月日 仕入控除額は支払った事業者の課税売上額となるため、他の事業者への支払額を控除することによって、各事業者は自身が付けた付加価値分だけの消費税を納付することとなります。, この仕入税額控除を行うために、請求書・帳簿に書かなければいけない要件が定められています。 現行の保存方式から 1. ①書類の作成者の氏名又は名称 京アニ義援金、33億円超に 全額、負傷者と遺族へ :日本経済新聞 それでは、具体的な記載例をもとに10月から始まる「区分記載請求書等保存方式」による請求書の書き方を確認しましょう。 (国税庁:「消費税軽減税率制度に関するq&a(制度概要編)」) ... こんにちは!なすのつくだにです! この部分でも、各企業は大幅なシステム改修を迫られており、大きな負担となると予想されます。, とりあえずは区分記載請求書等保存方式への対応で各事業者が手いっぱいになるかと思います。 合計請求書は区分記載請求書等保存方式に必要な項目を1枚で満たさない帳票です。 そのため、合計請求書を使用して区分記載請求書等保存方式に対応したい場合は、複数の帳票で必要な項目を記載し、相互の関連性を示す必要があります。 今回は少し前に話題になったこのトピックについて書いていきたいと思います。 また、個人的な意見になりますので、もし誤っていても責任は負いかねます。 今まで全くなかった作業をする必要が生じてしまい、非常に手間になると思います。, 現在は前述した「区分記載請求書等保存方式」が導入されていますが、2023年10月1日から「適格請求書等保存方式」が導入されます。仕入税額控除をするために、前述した区分記載請求書等保存方式の要件に加えて、さらに厳しい要件をクリアする必要が生じます。, 適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。適格請求書発行事業者になるためには、税務署に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。この登録を受けたら、「法人番号」を受け取ることができます。 ②課税仕入れを行った年月日 適格請求書等保存方式(インボイス制度)による追加事項 まずは、簡単に区分記載請求書等保存方式の概要を説明します。 区分記載請求書等保存方式は、消費税増税と同時に実施される軽減税率制度に伴って導入されます。 この他にも、請求書自体を軽減税率のものとそれ以外のものに分けてしまうことも認められるようです。, 消費税率が変更になった関係で、1つの請求書の中で複数の税率が混在する場合が発生するようになりました。 Copyright © 2021 bengo4.com All Rights Reserved. 2019年10月から消費税率10%に引き上げに伴い、軽減税率が導入されます。同時に請求書や領収書の方式には区分記載請求書等保存方式が、4年後の2023年10月からはインボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入される予定です。帳簿の記載などもますます大変になるかもしれません。 ③生産者が農業協同組合・漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡 登録は2021年10月1日から提出可能になり、適格請求書等保存方式が導入される2023年10月1日から登録を受けるためには、2023年3月31日までに提出する必要があります。直前に出しても登録されないため、注意が必要です。, なお、課税事業者しか適格請求書発行事業者になれないため、フリーランス等の現在免税事業者となっている個人事業主にとっては消費税負担が発生することになるかと思われます。こちらについては、「所感」にて後述したいと思います。, また、記載事項についても、区分記載請求書等保存方式に加えて厳しい要件をクリアする必要が生じます。, 先ほども書いた通り、適格請求書発行事業者として認められた「法人番号」を記載する必要があります。このために、適格請求書発行事業者登録をする必要があります。, 区分記載請求書等保存方式では税率ごとに区分した税込金額を記載する必要がありますが、適格請求書等保存方式ではそれに加えて、税率ごとの消費税額と適用税率を記載する必要があります。, 消費税額の算出方法も定められており、税率ごとに1回の端数処理を行うことが定められています。品目ごとに税額を計算・端数処理を行い、その合計額を消費税額とすることは今まで認められていましたが、適格請求書等保存方式では認められません。 4 区分記載請求書等保存方式 (1)帳簿及び請求書等の記載と保存. 今回はサークルの税金のうち、法人税と消費税について考えていきたいと思います。 ちなみに、端数処理に関しては四捨五入・切り上げ・切り捨てなど任意の方法が認められております。 ニュースでも話題の「軽減税率」ってややこしい! そのため、1つの請求書に複数の税率が混在する場合は、税率ごとに区分して合計した税込金額を記載する必要があります。, なお、相手からきた請求書にこれらの項目が書かれていない場合もあります。(個人的には、個人商店などの小さい事業者さんで上手く対応できていないところが多いように思います。) 今回は請求書の書き方の変化や、各国の軽減税率の情勢から日本の軽減税率がどうか?といった部分について書いていこうと思います。, また、消費税率変更に伴う経過措置についても以前記事にしています! なぜなら、立替請求する企業が請求書をシステムから発行する時、「立替金」勘定で請求書を発行します。 (1)課税仕入れの場合 区分記載請求書等保存方式による追加事項. インボイスとは「請求書」や「送り状」などを意味する言葉で、消費税に異なる税率がある場合、請求書などを使って税率ごとの合計や消費税額を把握する必要があり、その仕組みのことをインボイス制度といいます。 諸外国ですでに導入されている制度ですが、日本でも消費税に軽減税率が導入されることから、「適格請求書等保存方式」が創設されました。これがいわゆるインボイス方式になります。 なぜインボイス制度が必 … 請求書等保存方式 現行 区分記載請求書等保存方式 2019年10月~ 適格請求書等保存方式 2023年10月~ 税率: 8.0% (消費税率6.3% 地方消費税率1.7%) 2019年10月1日に実施された軽減税率制度に伴い、区分記載請求書等保存方式が導入されています。軽減税率対象品目のアルコール・外食等を除く飲食料品および定期購読の新聞を販売する側だけでなく、購入する側も帳簿への記載や請求書の保存に影響があります。 感想を見ている気分で読んでもらえると嬉しいです。 分からないものがある場合は税理士の方に相談してくださいね!, まず、消費税率変更に伴う請求書がどのように変化するかを解説いたします。 2019年10月から「区分記載請求書等」を発行していますか 名古屋市北区で税理士なら三宅正一郎税理士事務所。決算・確定申告、開業支援、会社設立、創業融資、節税コンサル など税務に関することをお任せいただけます。 ・2019年10月1日から区分記載請求書等保存方式となり、仕入税額控除の要件が厳しくなった! ・2023年10月1日から適格請求書等保存方式となり、より厳しくなる。これらの対策・制度の検討が必要 … まずは区分記載請求書等保存方式の概要を押さえておきましょう。 この章では、以下の3点を解説します。 1. 今回は地味ーに続いている税金ややこしいシリーズを書こうと思います! よろしければご覧ください!, ※あくまで僕が調べてややこしい!と思ったことを書き連ねている記事なので、 そもそも消費税における請求書の位置づけとは ③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容 ⑥ 軽減税率対象資産の譲渡等である旨(軽減税率対象であるかどうか区別が必要) ⑦ 税率の異なるごとに合計した対価の額. 特徴的な記載事項 3. 2019年10月1日から2023年9月30日までの4年間、仕入税額控除の方式について現行の「請求書等保存方式」に代り「区分記載請求書等保存方式」が実施されます。 ⑤書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称, 身近にあるものを見ると、「請求書」と呼ばれるものにはほとんど上記の①〜⑤の内容が書かれていることが分かるかと思います。それもそのはず、①〜⑤がなければ消費税以前にお金が支払われないのですから!, ということになり、請求書としての体をなさなくなります。 こんにちは!なすのつくだにです。 今回はじみーに続いている税金ややこしいシリーズ第3弾を書こうと思います! ニュースでも話題の「軽減税率」ってややこしい! と感じたことについて書きたいと思います。 今回は前半として、「軽... 消費税の経過措置がややこしい!「請負工事等」と「資産の貸付け」について解説します!. 立替金は自社の消費税申告に影響しないため、立替金に対して特に消費税に関する情報をシステム登録していないのが現状なのではないかと思います。そのため、請求書自動発行システムで発行した場合、消費税の情報がない総額だけの「立替金精算書」が発行されてしまい、立替を受ける側の仕入税額控除ができなくなってしまうという問題が生じます。 しかし、適格請求書等保存方式への対応も課題が山積みとなっているため、早めの対応が必要となりそうですね。. 一定期間の取引をまとめた請求書を発行することもあると思いますが、その場合でも適格請求書単位で1回の端数処理を行うため、期間ごとの端数処理は認められません。, 現状は、税込みの支払額が30,000円未満の取引ならば帳簿の保存のみで良いとされていますが、適格請求書等保存方式となると認められなくなります。 2019年10月1日から「区分記載請求書等保存方式」 2. この決まりにより、適格請求書等保存方式導入後において、免税事業者からの請求書は適格請求書ではなくなり、仕入税額控除ができなくなります。支払う側からすれば、仕入税額控除できる方が消費税額が抑えられるため、適格請求書発行事業者と積極的に取引するインセンティブが働くと考えられます。, そのため、現状免税事業者として活動している事業者にとっては、クライアントとの取引を継続するために、適格請求書発行事業者(つまり、免税事業者から課税事業者となる)となる圧力が働きます。, 今まで免税であった事業者が課税事業者になると、今までなかった消費税の負担が発生することや、消費税申告のためにシステム対応をさせること、申告方法の習得等が必要となります。 おそらくほとんどの企業が、現状のままでは「立替金精算書」をシステムから発行するのが不可能ではないかと思います。 ⑤郵便切手を対価とする郵便サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります), 今までは少額の取引については請求書がなくても仕入税額控除ができましたが、適格請求書等保存方式では少額の取引でも請求書や領収書を受け取り、保存する必要が生じます。 請求書には、適格請求書発行事業者であることを証するために法人番号を記載する必要があります。 区分記載請求書等保存方式や、軽減税率導入に伴う請求書等の発行側と受領側それぞれが対応するべき事項について、わかりやすく紹介します。また、2023年10月からスタートする適格請求書等保存方式(インボイス制度)への移行に向けて必要な対応にも解説します。 回答理由・根拠 区分記載請求書(消費税 不・非課税取引がある場合の記載方法) 平成31年10月1日からの予定となっている消費税改正により、平成31年10月1日から平成35年9月30日までの間は、「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。 (1)事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡などにつき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類(中略) 今日はネットで見つけた、この記事について書こうと思います! ①課税仕入れの相手方の氏名又は名称 2019年10月1日から消費税が10%にアップすると同時に、「軽減税率」が導入される予定です。それに伴い、価格の表示などさまざまな点に変更があります。そのひとつが、日々発行している請求書についての変更。この記事では、「区分記載請求書等保存方式」について解説していきたいと思います。, 消費税は「間接税」に分類され、税金を納める義務がある人(納税者)と、税金を負担する人(担税者)は別となります。, 消費税の課税対象となるのは、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等とされており、生産および流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度、その販売価格に上乗せされますが、最終的に税を負担するのは消費者です。, 一方、税金を納めるのは事業者です。仕組みとしては、課税事業者が納付する消費税額は、課税期間中の課税売上げ等に係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算します。, ざっくりとした表現をするならば、事業者は課税期間中に売上等と一緒に消費税を預かり、そこから仕入に関して支払った消費税額を差し引き、残りを税金として納めています。, 仕入に関して支払った消費税を差し引くことを「仕入税額控除」といいますが、この適用を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります。, 仕入税額控除を適用するために必要な帳簿および請求書の保存について、軽減税率導入とともに変更があります。, 現行は「請求書等保存方式」といわれるものですが、2019年10月1日から2023年9月30日までの間は「区分記載請求書等保存方式」となり、2023年10月1日からは「適格請求書等保存方式(インボイス方式)」となる予定です。, 本記事では「区分記載請求書等保存方式」について解説していますが、この方式は現行方式を基本として項目の追記が求められることになります。, 簡単に言うと、現行の請求書の項目に加えて軽減税率の対象の場合はその旨を明示すること、そして軽減税率と標準税率との税率が異なるごとに区分して合計した額を記載することが求められます。, 具体的な現行の請求書との比較は次のとおりであり、赤字部分が追加された項目となります。, ・課税仕入れの相手方の氏名又は名称・課税仕入れを行った年月日・課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)・課税仕入れに係る支払対価の額, 区分記載請求書等に記載する「軽減対象資産の譲渡等である旨」については、軽減対象資産の譲渡等であることが明らかであるといえる程度の表示がされていればよいとされています。, たとえば個々の取引ごとに10%や8%の税率を記載するほか、記号や番号でまとめ、注釈のような形で軽減税率の対象である表示をする方法や、税率ごとに商品を区分して記載する方法、税率ごとに請求書を分けて発行する方法などがあります。, 以下の例では軽減税率対象品目には「※」を付けて記載し、表外に軽減税率対象品目であることを記載しています。また、合計の下部に税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込)を記載しています。, 以下の例では軽減税率対象品目と標準税率対象品目を区分して記載しています。そしてそれぞれの税率の承継として、税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込)を記載しています。, 以下の例では税率ごとに請求書を分けて記載しています。そして、軽減税率対象の請求書にはその旨を明示しています。, ここまでで解説したとおり、軽減税率が適用される取引について仕入税額控除を行うために保存すべき請求書等に追記事項が求められていますが、請求書はあくまでも相手からもらうもののため、これらの記載事項がない請求書が相手より渡される可能性があります。, このような場合には、その請求書の交付を受けた事業者が、その取引の事実に基づいて、次の項目を追記し保存することで、仕入税額控除をすることが認められます。, なお、保存すべき区分記載請求書等の記載事項のうち、請求書等の交付を受けた事業者による追記が認められるのは、上記の2項目のみであり、当然ながら他の項目についての追記や修正は認められていないため、その点留意が必要です。, 消費税アップと軽減税率導入に伴い、様々な変更点が現れてきています。実際に対応が必要なのか、対応するならばどのような方法を取ればいちばん円滑に業務が進むのか、事前に検討すべきことが数多くあります。, いざ導入となった際に混乱を招かないよう、早めに税理士などの専門家と連携・相談をしておきましょう。, 2019年10月1日から、消費税が10%にアップするのと同時に、消費税の軽減税率制度が始まることが予定されています。これは消費税の引き上げにあたり、低所得者に配慮する観点から導入されるもの。内容としては、特定の品目について税率が8%のまま据え置かれるというものです。そして、その品目は「酒類及び外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」とされています。つまり、ざっくり説明すると、酒類や外食以外の飲食料品や、定期購読の新聞については、消費税は上がらずに8%のままですよ、というのが、今回の軽減税率制度のしくみとなります。消費者の視点からすると、日常的に消費する飲食料品の消費税が上がらないということはありがたいことですが、一方で事業者の視点からすると、従来とは違った対応が必要になるため、厄介な話です。たとえば、顧客から値段を聞かれた場合や、請求書や領収書の発行を求められた場合、商品ごとに定められた税率で対応していくことが必要となります。そのため、適切に商品管理を行い、個々の商品の適用税率を把握し、表示しておくことが重要なポイントとなるのです。店内飲食とテイクアウトで消費税が変わる?前述のとおり、軽減税率の適用対象品目は、「酒類及び外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」とされています。そのため、たとえばファーストフード店でのテイクアウトは、単に飲食料品を販売するものであるため「酒類及び外食を除く飲食料品」というカテゴリーに当てはまり、軽減税率8%が適用されます。一方で、店内での飲食については、顧客に店内で飲食させるサービスを提供するもので「外食」にあたるため、標準税率10%が適用されることとなります。このように、同じ飲食料品を提供する場合でも、適用される消費税率が異なる場合があるのです。特にテイクアウトと店内飲食の両方で飲食料品を提供する飲食店などは、適切な価格表示に気を付ける必要があります。価格表示の具体例まず前提として、同じ飲食物でも提供方法によって、消費税の税率が変わる可能性があります。たとえばもとの値段を同じに設定して、テイクアウト(軽減税率)と店内飲食(標準税率)で税込価格が異なる場合は、価格表示方法としては、以下の2つが考えられます。テイクアウトと店内飲食の両方の税込価格を表示する方法テイクアウト等をした場合の値段と、店内飲食の場合の値段の両方を税込み価格で表示するパターンです。(メニュー例)※右側の金額はテイクアウトの値段となります。テイクアウトまたは店内飲食のどちらか片方のみの税込価格を表示する方法この方法を選択するのは、「店内飲食」の利用がほとんどである外食店で、「テイクアウト」の価格を表示する必要性があまりないと考えられる場合などが想定されます。(メニュー例)※テイクアウトの場合、消費税率が異なりますので、別価格となります。ただし、この表示方法については「景品表示法の有利誤認表示」に該当する可能性があります。顧客の利便性の確保の観点からも、テイクアウト(または店内飲食)の場合は価格が異なるという内容の掲示を店内の目立つ場所にするなど、顧客に対して注意喚起を行うことが望ましいとされています。税込価格を統一して表示する方法飲食物の価格設定は、各飲食店が自由に決めるものであるため、テイクアウトと店内飲食の税込価格が同じ値段になるように、テイクアウトの税抜価格を高く設定する、または店内飲食の税抜価格を低く設定することも可能です。こうすることで、税込価格を一種類にすることができ、表示の上ではとてもシンプルとなります。(メニュー例)ただし、上記のような表示をした場合は、上記以外に「すべて軽減税率が適用されます」といった表示や、「消費税は8%しかいただきません」といった表現を使うことはできません。こうした表現は、消費税が価格へ正しく転嫁されていないという誤解を招くため禁止されている、消費税転嫁阻害表示に該当するため、注意が必要です。おわりに軽減税率が導入されると、飲食店やスーパーなどの商品を扱う事業者側にとっては、従来とはまったく異なった対応が必要になる場合が出てきます。これらに適切に対応していくためには、入念な準備が不可欠です。早めに税理士などの専門家に相談し、いざ導入されたときに慌てることのないよう、しっかりと備えていきましょう。, 消費税は生産や流通などの各取引の中で課税されて、最終的には購入した消費者が負担することになっています。事業者は、消費者から預かった消費税を消費者の代わりに納付します。このように負担者と納税者が異なる税金を「間接税」といいます。生産や流通などの過程で事業者が消費税を負担することがないような仕組みとなっていて、事業者は売上で預かった消費税額から、仕入れ等で支払った消費税額を差し引いた額を納付します。このとき、預かった消費税よりも支払った消費税が多いときに、その差額分を返してもらえるのが「消費税還付」です。還付金の計算方法事業者の納付すべき消費税額は以下の算式により計算します。計算結果がマイナスとなったときは、その金額の還付を受けることができます。課税標準額に対する消費税額 − 仕入控除税額 = 納付税額(または還付税額)「課税標準額に対する消費税額」とは<課税標準額>に税率を乗じることにより計算した金額のことです。ここでいう<課税標準額>とは、税額を算出する直接の対象となる金額を指し、主に、国内において事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡・貸付け・役務の提供のうち、土地の売却などの非課税取引とされるものを除いた、いわゆる課税取引による対価の額となります(課税取引には輸出免税取引も含まれます)。また、「仕入控除税額」とは、仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等に係る税額(※)のことで、その課税期間の課税売上割合および課税売上高によって、以下の【1】【2】いずれかの方法により計算されます(※ 課税仕入れ等に係る税額・・・課税仕入れに係る消費税額、特定課税仕入れに係る消費税額、保税地域からの課税貨物の引取りに係る消費税額)。【1】課税売上割合が95%以上かつ課税売上高5億円以下→全額控除課税仕入れ等に係る税額の全額を仕入控除税額として控除できます。【2】課税売上割合が95%未満または課税売上高5億円超→個別対応方式(1)、または一括比例配分方式(2)(1)個別対応方式とは、課税仕入れ等を「A.課税売上対応仕入」「B.非課税売上対応仕入」、「C.共通対応仕入」の3つに区分して、以下の算式により仕入控除税額を計算する方法です。仕入控除税額 = Aに係る消費税額 + Cに係る消費税額 × 課税売上割合(2)一括比例配分方式は、課税仕入れ等に係る税額の合計額に<課税売上割合>を乗じて、仕入控除税額を計算する方法です。仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る税額の合計額 × 課税売上割合なお、<課税売上割合>とは、売上に占める課税売上高の割合です。ここでいう課税売上高とは、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から売上げに係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残高をいいます。課税売上割合 = 課税売上高(税抜き)÷ {課税売上高(税抜き)+非課税売上高}消費税還付が受けられる具体例消費税還付が受けられるのは、仕入れや経費が多く赤字のときや設備投資や高額な支出をしたとき、輸出業を営んでいる事業者などが挙げられます。仕入れや経費が多く、赤字である創業当初や売上不振などで赤字決算だった場合は、仕入や経費にかかった消費税が売上で預かった消費税を上回ることがあり、この場合は還付を受けることができます。ただし、必ずしも「赤字決算=還付が受けられる」というわけではありません。なぜなら、経費の中には給料(不課税)や保険料(非課税)など消費税の課税対象とならないものもあり、仕入等で支払った消費税額が売上で預かった消費税額を下回るケースがあるからです。設備投資や高額な支出をしたたとえば、太陽光発電などの大規模で高額な設備投資を行った場合や、不動産(土地などを除く)に多額の投資をした場合には、資産購入に際し支払った消費税額が売上げで預かった消費税額を上回ることがあり、この場合には消費税還付を受けることができます。数千万円単位の高額投資であれば、数十万円〜数百万円もの消費税還付を受けるケースもあります。貿易業(輸出業)を営んでいる消費税は原則として国内で消費されるものに対して課税されるので、輸出など、あらかじめ国外で消費されることが予定されているものについては免税(消費税率0%)とされています。一方で、国内での仕入れや経費には消費税が課されているので、その支払った消費税額について消費税還付を受けることができます。つまり、貿易業(輸出業)を行っていて輸出売上比率が高い事業者は消費税還付を受けることができる可能性が高くなります図の例では、輸出での売り上げ1000万円に対する消費税は免税のためゼロとなりますが、その仕入には50万円の消費税を負担しているので、その分が消費税申告により還付となるということです。消費税還付ができないケース先述したケースに当てはまる場合でも、「免税事業者」や「簡易課税制度」を選択している場合は、消費税還付を受けることができないので注意が必要です。課税事業者ではない(免税事業者)消費税の納税義務が免除されている「免税事業者」については、消費税申告に関する消費税法の規定から除外されていますので、消費税申告で還付を受けることができる事業者は「課税事業者」のみとなります。したがって、消費税の還付を受けることができると見込まれる場合にはあらかじめ課税事業者を選択しておく必要があります。なお、免税事業者が自ら課税事業者になる場合は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。事業開始初年度の場合は、その課税期間中が提出期限です。免税事業者が自ら課税事業者を選択した場合には原則として2年間(※)課税事業者が強制適用されるため、その課税期間だけではなく翌課税期間以降の影響も含めて判断する必要があります(※ 税抜き100万円以上の高額な資産を取得した場合にはその取得時期により3年もしくは4年間)。簡易課税制度を選択している簡易課税制度を選択している事業者は、消費税還付はありません。なぜなら、簡易課税制度は一般的に、実際に支払った消費税額よりもみなし仕入率で計算した消費税額が多くなるときに選択しますが、このみなし仕入率で計算された消費税額は以下のように、売上として預かった消費税額に一定の率を乗じて計算されるため、どのような場合であってもその税額が預かった消費税額より多くなることがない(みなし仕入率が100%を超えることはない)からです。課税売上等にかかる消費税額 ー( 課税売上等にかかる消費税額 × みなし仕入率 )みなし仕入れ率卸売業90%|小売業80%|農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業等70%|飲食業等60%|サービス業等50%|不動産業40%なお、事業者が簡易課税制度をやめようとする場合には、そのやめようとする課税期間の初日の前日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければなりません。ただし、課税事業者が自ら簡易課税制度を選択した場合には、原則として2年間は簡易課税制度が強制適用されるため注意が必要です。消費税還付の手続きの方法個人事業主であれば、課税期間の翌年の3月末日までに、以下の書類を所轄税務署長へ提出して、消費税申告を行います。法人であれば、課税期間の末日の翌日から2か月以内に以下の書類を所轄税務署長へ提出して、消費税申告を行います。また、輸出業の場合は、輸出業の還付税額と国内向け事業の納付税額を「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」の中で同時申告する必要があります。これにより、還付税額と納付税額が相殺されて、その差額が納付もしくは還付となります。還付金受け取りの時期消費税の申告書を提出した後に、記載内容や必要書類の審査が行われ、問題がなければ還付が行われます。個人事業主が申告書をe-Tax(電子申告)で提出した場合であれば、おおむね2〜3週間程度で処理されるでしょう。ただし、大量の申告書が提出される2月3月の時期には1か月から1か月半程度かかると見込んでおきましょう。還付金の受け取り方法は、申告書に記載した預貯金口座への振込による方法以外に、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口に直接出向いて受け取る方法があります。課税期間短縮の特例税務署長に「消費税課税期間特例選択・変更届出書(第13号様式)」を提出すると、課税期間を1か月または3か月ごとに短縮することができます。これにより、年間に12回もしくは4回の消費税申告を行えます。輸出業者などで毎月の支払うべき消費税額の負担が大きく、かつ、短期的な消費税還付により資金繰りに余裕を持たせたい場合などは、この届出を行うとよいでしょう。なお、事業者が自ら課税期間を短縮しようとする場合は、「課税期間特例選択・変更届出書」を、その短縮しようとする1月ごと又は3月ごとの期間の初日の前日までに提出しなければなりません(事業開始初年度の場合は、その期間中が提出期限です)。還付された消費税の仕訳還付金を受け取った時の会計処理の方法は、経理処理を「税抜方式」か「税込方式」のどちらで処理しているかによって異なります。税抜方式税抜方式では、売上げとして預かった消費税額は「仮受消費税」、仕入等で支払った消費税は「仮払消費税」、還付金は「未収消費税等(資産)」として仕訳します。このとき差額がある場合は、「雑損失(不課税)」もしくは「雑収入(不課税)」として処理をします。借方貸方仮受消費税XXXX円仮払消費税XXXX円未収消費税XXXX円雑収入(不課税)XXXX円還付金を受け取ったときは、以下のように「未収消費税(資産)」を減少させます。借方貸方預貯金XXXX未収消費税等XXXX円税込方式税込方式の場合も税抜方式と同様に、還付金額は「未収消費税等(資産)」を使用して処理をします。ただし税抜方式と異なり、期中に「仮払消費税」「仮受消費税」が計上されないため、同額を「雑収入(不課税)」として計上します。借方貸方未収消費税等XXXX雑収入(不課税)XXXX円還付金を受け取ったときは、税抜方式と同様の処理となります。ただし前期の決算時(上記の仕訳時)において未収消費税等を計上していない場合は、還付金を受け取ったときに「雑収入(不課税)」として貸方に計上します。借方貸方預貯金XXXX未収消費税等XXXX円還付金を受け取るときには、利息として還付加算金が付加されます。この還付加算金は法人の場合には雑収入(不課税)、個人の場合には受け取った年の雑所得として処理します。消費税還付の税理士報酬相場このように、消費税に関する手続きは複雑なため、税理士に依頼することが一般的です。税理士に支払う報酬は、決算申告料に含まれているケースがほとんどですが、成功報酬の場合は、還付金の20〜30%または3万円〜10万円が相場と考えておきましょう。報酬額は一律ではなく、業種や事業規模、売上や税理士によっても異なるので、まずはいくつか見積もりをとって比較をしてみるとよいでしょう。, 消費税は1989年に導入され、今では税収全体の20%くらいを占める重要な税です。税率は当初3%だったのがいまは8%で、来年秋には10%に上がる予定です。日本の消費税は「多段階課税」といって、生産・流通過程の各事業者が売上のときに客から預かった消費税を、仕入れのときに支払った消費税を控除して税務署に納める方式がとられています。消費者はお店で消費税を払うだけで、控除も還付もできませんから、最終的な消費税の負担者は消費者ということになります。消費税の納税義務がある事業者事業者は、課税期間の課税売上高(消費税のかかる売上)が1000万円を超えた翌々年度から、納税義務がある事業者(課税事業者)となります。課税期間には「基準期間」と「特定期間」があり、個人と法人で以下のように異なります。基準期間個人事業者の場合はその年の前々年(1月1日〜12月31日)、法人の場合はその事業年度の前々事業年度特定期間個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間そして、課税期間の2年度前の売上が1000万円以下の場合であれば、免税事業者(消費税の納税が免除されること)になります。ただし、免税事業者になるためには資本金が1000万円以下であることなど、他にも要件があるため詳しくは税理士に確認してください。起業から2期目までは免税基準期間は、個人は前々年、法人は前々事業年度です。新たに開業した個人事業者や新たに設立された会社は、その課税期間について基準期間がありません。このため原則として2期目までは、消費税の納税義務が免除されるということになっています。個人事業者がいわゆる法人成りにより新規に会社を設立した場合でも、個人事業の売上は引き継がないため、同様に2期目までは免税になります。分社化することで消費税は免除される?消費税は、基準期間の課税売上高を元に課税、免税が決まります。ですから、分社化することで課税売上高が1000万円以下になるなら、必ず消費税は免税になります。しかし、いくつか注意すべきこともあります。分社化が、消費税を納めない目的のためだけになされるときは、税務調査で脱税と言われるかもしれません。分社化するときは、業種別にグループ会社を管理するためとか、親会社は管理、傘下の子会社は現業に特化するというような納得の得やすい分社化の理由を考えておくとよいと思います。なかには、会社を2社作り同じ事業活動を2年ごとに会社を変えて営業することで、消費税の支払いを継続的に免除してもらおうと提案してきた方がいます。筆者は顧問契約をお断りしたのですが、免税目的だけで会社を設立するのは問題があるように感じました。課税事業者を選んだほうが有利な場合免税事業者は、届けをだせば課税事業者になることができます。なぜ、あえて課税事業者になるかというと、消費税の還付請求ができるときは、課税事業者を選んだほうが有利になるからです。課税売上よりも課税仕入が多い場合は、消費税の還付を受けることができます。しかし、免税事業者の場合は還付請求をすることができません。そこで、あえて課税事業者を選択するのです。特に輸出事業者の場合は、輸出免税の制度を使えますので、輸出にかかる消費税はゼロです。なので、仕入れにかかる消費税を全額還付してもらえることもあります。またその他の事業でも、設備投資がかさむときには、設備購入にかかる支払い消費税が高額になって、売上にかかる預かり消費税を上回って消費税の還付請求ができることがあります。さらに、継続的な赤字企業も消費税の還付請求ができることが多いので、課税事業者を選択したほうが有利になることがあります。免税事業者を積極的に選びたい場合免税事業者ならば、納税負担がなくなるだけでなく、本来国などに納めるべき税金が会社の利益として蓄積できるのですから、事業者からみたら言うことなしです。世にいう益税です。そのため、消費税を納めなくてはいけない状況があるときに、消費税のことだけを考えて分社化する分にはデメリットはありません。しかし経理が煩雑になるとか、均等割の7万円が発生するとか、分社化のデメリットは数多くあります。デメリットを上回るメリットを感じるなら、分社化を選択しても良いかもしれません。おわりに消費税の免税を目的としたときには、分社化は意味があります。しかし気を付けなくてはいけないことも多々あることがお分かりいただけたかと思います。税金の表も裏も知り尽くした税理士を探して相談することが成功への近道です。みなさんがうまい着地点を見つけられるよう願っています。, Aさんが営む中古車屋は法人設立6年目。高校を卒業してから15年ほどは自動車修理の会社に勤めており、業者用のオークションで中古の外車を安く仕入れて、修理し販売する業務を行なっていたそうです。そこでノウハウを得たことや、社長の許可もあって独立することになり、すぐに法人の登記をして、職場の後輩をひとり引き抜いて開業しました。開業してからは順調で、売上は1200万円ほどで推移し、役員報酬が800万円となり会社員の頃より給与は上がりました。今回は、設立から税務調査が一度もなかったこと、また、売上のわりに申告されている所得が低減していたことにより、調査着手に至りました。税務調査が行われる理由として、これらは一般的ですが、Aさんの会社がもっとも迂闊だったのは、消費税の申告をしていなかった ということです。税理士の先生との顧問契約はあったようですが、なぜか申告を怠っていました。税理士報酬は月額1万円という破格の金額。通常の法人の顧問料では考えられない金額です。事前に税理士の先生に連絡をして、調査に臨場。約束の10時に事務所に行きましたが社長のAさんはおらず、先生とふたりで待つことになりました。20代前半くらいの従業員が、パイプ椅子と机が置かれた小部屋に案内してくれましたが、お茶が出される様子もなく、社長を待つこと1時間。11時を過ぎ、ツナギ姿の社長が酒でむくんだ顔を隠すことなく、のそのそとやってきました。税理士報酬1万円とは、これいかに概況をヒアリングすることもなく社長に帳簿を出してもらい、すぐに調査を始めます。経費を確認すると、研修資料に載っていそうなくらい分かりやすい、個人的なつかい込みと思われる大量のキャバクラの領収書が・・・。Aさんの会社は領収書の入力は自社で行っていて、勘定科目ごとにまとめた金額を税理士の先生に送っていました。つまり、先生は領収書の内容を精査していなかったのです。月額1万円という報酬では、顧問税理士といえどもこの程度の関与になってしまうのでしょう。先生に責任はありません。キャバクラの領収書について社長に内容を確認するとひとりで行ったものばかりだったので、抽出して、金額をまとめるようにお願いしました。続いて、売上も確認。「売上除外」、つまり売上を少なく申告して本来支払うべき税金も少なくする 脱税方法には、売上だけを隠す方法と、売上とそれに対応する仕入の両方を隠す方法の2つがあります。そこで車の仕入台数と売上台数を突き合わせてみましたが、それぞれの車種・台数は完全に一致。つまり売上除外は確認できませんでしたが、もしかするとそもそも仕入から除外していたために見つけられなかっただけかもしれません。また、ベンツやBMWといった高級中古車の仕入れ価格が20万円程度となっていたことに驚き、社長に確認すると、故障箇所が多いのでこの値段になる、とのことでした。ここまで帳簿を確認したところで、昼になり、昼食を取ることに。「45分ほど休憩にしましょう」とぼくが提案すると、「先生、近くにうなぎ屋があるので行きましょう」と社長が先生を誘いました。「ぼくも外に出ます」と椅子から立ち上がると、お前もうなぎを食いに来るのか?オレにたかるつもりか?という心の内を露骨に顔に出して、社長がぼくを見ましたが、「あぁ、ぼくはお弁当があるので」と伝え、くたびれたプレハブの事務所を出ました。消費税を申告しなかった法人の行方は・・・ぼくは、調査の前に必ず昼食場所を確認します。当時は、スマートフォンもそれほど普及しておらず、携帯電話で飲食店を検索するようなことは難しい環境でした。地図を広げて、その日調査する法人事務所近くの飲食店を探すのです。もちろん、営業時間や定休日は分かりません。味がよいか悪いか、店内が清潔か否かなどは優先されず、とにかくカロリーを摂取することが目的でした。 現役の調査官の方々は、スマートフォンで容易に検索して、好きなものを食べられることでしょう。それでも、飲食店が周辺にないようなエリアで調査を行うときは、このときのぼくのように、公園のブランコで揺られて、早起きして作ったお弁当を食べることになります。ぼくは、甘じょっぱい卵焼きをほおばりながら、消費税の申告について考えていました。申告していないことは全員がわかっている。それでもその話をしないのは、このままなんとかなると思っているのか、そもそも顧問料1万円の法人の消費税の申告を税理士の先生がするだろうか。昼食後に、先生と社長に消費税の話をすると、ふたり揃って「申告したくない」と子供みたいなことを言うのでした。その後、先生は1年分の消費税の申告だけして顧問契約を打ち切り、社長は夜逃げをして、ひとり残された従業員も元いた会社に戻ったようでした。 後日訪れたプレハブにあったのは、土埃にまみれて地面でなびく「都合により、お休みをいただきます」と書かれた張り紙だけでした。, 経営者が亡くなって相続人が株式を相続すると相続税が、生前贈与によって後継者が取得するときには贈与税が課税されます。「事業承継税制」は相続や贈与によって株式等を取得した場合にかかる相続税・贈与税の納税猶予が受けられる制度のことです。中小企業庁のホームページによると、日本企業の実に99.7%は中小企業が占めており、日本経済の根幹を支えていますが、一方では後継者に課せられる多大な税負担の影響から、事業承継がスムーズに進まず、会社の存続に支障が出ることが問題となっていました。そこで、株式等を後継者に移転する際に発生する贈与税や相続税の納税を猶予することで、中小企業の事業承継の円滑化を図ろうというのが、事業承継税制が導入された主な目的です。事業承継税制は「経営承継円滑化法」の制定にともない2009年に創設されましたが、制度利用の要件が非常に厳しく、活用しにくいと言われていました。このような状況を受けて、2018年の税制改正により、適用要件が大幅に緩和された特例措置が設けられました。2018年税制改正による変更点今回10年間の時限措置として設けられた「特例措置」と、改正前の「一般措置」との主な違いについては以下のとおりとなります。 特例措置一般措置対象株数全株式総株式数の最大2/3まで納税猶予割合100%贈与:100%相続:80%承継パターン複数の株主から最大3人の後継者複数の株主から最大1人の後継者相続時精算課税の適用60歳以上の者から20歳以上の者への贈与60歳以上の者から20歳以上の推定相続人・孫への贈与本記事では、主に「特例措置」について解説していきます。相続時精算課税制度との併用について「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し贈与した場合に、総額2,500万円までが非課税になる制度です。贈与の方法としては基本的に、1年間で合計110万円まで非課税となる「暦年課税制度」もありますが、受贈する非上場株式等以外の財産が110万円以上ある場合には、こちらを適用することもできます。これまでの一般措置では「受贈者が20歳以上の推定相続人や孫」といった親族の場合のみ適用可能でしたが、今回設けられた特例措置では、第三者に対する贈与でも適用が可能になりました。これにより、後継者を親族に限定する必要がなくなり、さまざまな可能性を考えて事業承継できるようになったのです。ただし、贈与者となる先代が亡くなり相続が発生したときには、相続時精算課税制度を利用して受贈した財産に対し相続税が課せられることになります。このとき、受贈者が第三者だと相続税の基礎控除は適用されません。また、相続税の2割加算が適用されてしまう点には注意しましょう。事業承継税制のメリットとデメリット業績のよい中小企業の場合、株式の価値は業績に比例して高い評価額となるため、突然相続が発生すると、後継者は多額の相続税を負担しなければなりません。相続税は「現金一括納付」が原則なので、納税できるだけの現金が準備できていないと、事業承継がスムーズに進まず、最悪の場合廃業という可能性も出てきます。事前に事業承継税制を使った生前贈与をすれば、相続税が節税できるだけでなく、対象となる株式に対する贈与税が猶予されますし、将来的に相続が発生すれば、猶予されていた贈与税は免除になるという大きなメリットがあります。事業承継税制を利用することで、事実上、株式にかかる贈与税や相続税は100%免除されるため、後継者にかかる納税負担を大幅に軽減できるのです。一方で、事業承継税制は制度が開始してから間もなく、また、利用するための要件が細かく規定されているため、精通している専門家が少ないという懸念があります。さらに免除が取り消された場合には当初の納税額に加え、利子税も納めなくてはならないというリスクもあります。その場合、本制度を利用せず納税した方が結果的に納税額が少なくすむ可能性もありますので、十分に検討してから申請しましょう。贈与税・相続税の納税猶予及び免除について都道府県知事の認定を受けている非上場企業において、会社の後継者が株式の全部または一部の贈与を受けて事業を承継する場合は、贈与税の全額が納税猶予を受けられます。また、猶予を受けている間に先代経営者が死亡した場合などには、納税猶予されている贈与税の納付が全額免除されることになります。さらに、経営者が亡くなり、会社の株式の全部または一部を後継者が相続し、事業を承継する場合は、相続するすべての株式に対して本来納付すべき相続税の全額が納税猶予を受けられます。制度の適用後、非上場株式等を保有し続けている間は納税が猶予されます。ただし、後継者が代表を退くなど一定の条件に当てはまる場合には猶予された税額に加えて利子税を併せて納付しなくてはなりません。猶予が受けられなくなるケース事業承継税制が適用できた場合でも、そこから5年間については一定のルールを守っていかなければなりません。主なルールとしては以下の通りです。ルールが守れなくなった場合は、猶予されていた税金に利子税(年利0.8%)も含めて納税しなければなりません。また、5年経過した後についても自社株式については引き続き保有し続けなければならず、途中で売却した場合は、猶予されていた税金の納税が必要です。ただし、利子税については免除されます。猶予対象となる納税額の計算方法実際に猶予対象となる納税額の計算は贈与税・相続税それぞれで以下のように計算します。贈与税における猶予税額の計算方法<ステップ1>1年間で贈与を受けたすべての財産の価格を合計し、その合計額に対し贈与税額(A)を算出。<ステップ2>贈与された財産が本制度の適用を受ける非上場株式等のみと仮定し、贈与税額(B)を算出。この(B)の金額が納税猶予が認められる贈与額となります。なお、相続時精算課税制度を併用する場合には、特別控除額の2500万円を差し引いた金額に20%の税率をかけて算出します。<ステップ3>(A)から(B)を差し引いた税額については通常通り申告期限までに納付します。相続税における猶予税額の計算方法<ステップ1>課税価格の合計額に対する相続税総額のうち、後継者が相続した財産の課税価格に対する相続税額(A)を算出。<ステップ2>相続した財産が本制度の適用を受ける非上場株式等のみと仮定し、後継者の相続分に対して相続税額(B)を算出。この(B)の金額が納税猶予が認められる相続税額となります。<ステップ3>納税する相続税を計算する(A)から(B)を差し引いた税額については通常通り申告期限までに納付します。事業承継税制の適用要件事業承継税制を利用するためには、次の適用要件をすべて満たしていることについて、「都道府県知事の認定」を受ける必要があります。適用要件は贈与税と相続税とでそれぞれ異なります。贈与税の納税猶予及び免除対象要件会社の要件・非上場会社である・中小企業基本法の中小企業(※1)である・資産管理会社や風俗営業会社に該当しない・常時雇用している従業員が1人以上いる・直前の事業年度の総収入金額が0ではない など後継者(受贈者)の要件・会社の代表権を有している・20歳以上である・役員等の就任から3年以上経過している・後継者および後継者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権数を保有している先代経営者(贈与者)の要件・会社の代表権を有していた・贈与時に会社の代表権を有していない・贈与の直前において、贈与者及び贈与者と特別の関係がある者で決済数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多く議決権数を保有していた担保の提供・納税額に見合う担保を提供すること(特例を受ける対象株式等のすべてを担保として提供してもよい)※1 中小企業とは中小企業経営円滑化法で定義されている企業で、下記の表のとおり業種ごとに従業員数および資本金の要件があります。業種いずれかを満たすこと資本金の額または出資の総額常時使用する従業員の数製造業・建設業・運輸業・その他3億円以下300人以下卸売業1億円以下100人以下サービス業5,000万円以下100人以下小売業5,000万円以下50人以下適用対象外になる資産管理会社とは上記に該当する中小企業であっても、不動産を管理することを目的するような資産管理会社については、事業承継税制の適用対象外となります。ただし、血縁関係のない従業員を5人以上雇用していて、事務所を構えるなど会社としての事業実態があれば例外的に適用を受けられる場合もあります。相続税の納税猶予及び免除対象要件会社の要件・非上場会社である・中小企業基本法の中小企業(※1)である・資産管理会社や風俗営業会社に該当しない・常時雇用している従業員が1人以上いる・直前の事業年度の総収入金額が0ではない など後継者(受贈者)の要件・相続開始日の翌日から5か月を経過する日において会社の代表権を有している・相続開始のときにおいて、後継者および後継者と特別の関係がある者で、総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、これらの者の中で最も多くの議決権を保有している先代経営者(贈与者)の要件・会社の代表権を有していた・相続開始の直前において、被相続人及び被相続人と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの者の中で最も多く議決権数を保有していた担保の提供・納税額に見合う担保を提供すること(特例を受ける対象株式等のすべてを担保として提供してもよい)事業承継税制の手続き事業承継税制の適用を受ける際には、次の流れに沿って手続きを行います。1)特例承継計画の策定まずは、事業承継の予定時期や承継するまでの経営の見通し、承継後5年間の事業計画などを記載した「特例承継計画」を策定します。「認定経営革新等支援機関」として認定されている税理士などにその内容を確認してもらい、所見を記載してもらった上で都道府県庁に提出します。なお、提出可能期限は2023年3月31日までにとなります。2)経営承継円滑化法の認定を受ける「特例承継計画」の確認を受けたら、会社、後継者、先代経営者の各要件を満たした上で、「経営承継円滑化法」の認定を受けられるよう都道府県知事へ申請します。認定の申請期限は贈与・相続でそれぞれ下記のとおりです。認定には有効期間があり、事業承継税制の特例を受ける贈与税・相続税の申告期限の翌日から5年間となります。3)税務署へ申告書等の提出と担保の提供贈与税・相続税の申告期限までに、事業承継税制の適用を受ける旨を記載した申告書等の書類を税務署へ提出します。また、納税猶予される税額および利子税の額に見合う担保の提供が必要です。申告期限は下記のとおりです。4)猶予継続の手続き事業承継税制による納税猶予を継続させるには、適用後5年間にわたって毎年「年次報告書」を都道府県庁へ提出することと、「継続届出書」を所轄の税務署へ提出する必要があります。6年目以降は3年に一度、「継続届出書」の提出のみ必要となります。継続届出書を提出しないと、納税が猶予されている税金全額と利子税の納付が必要になりますので注意しましょう。おわりに事業承継税制の適用を受けられれば、贈与や相続における後継者への負担なく、円滑に株式を移転させてスムーズに事業承継を進めることができます。メリットの大きい制度ですが、適用を受けるためには事前に要件を満たすための準備が必要です。事業承継を成功させるためには、税金のことだけではなく、事業承継税制の適用要件や手続きについて精通している経験豊富な税理士の力を借りて、生前から計画的に対策を講じていくとよいでしょう。, 山田 大悟 やまだ だいご